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 土日も缶詰しております。


 質はともかく、勉強のために5,6時間同じ部屋に篭ることなど生まれて初めてです。
 そのせいか、色々と見てはいけないものを見ます。



 授業があるのは研究棟なのですが、そこは10階建て。
 各部屋に『リフレッシュ・ルーム』と呼ばれている机や椅子はおろか、コンロまで備えている素敵空間があるのですが、なぜか利用者が少ないため、一人で一室使っています。
 いつも使っている部屋は6階なのですが……さすがに6階以上の部屋は賑わっているわけでもなく、人の通らないフロア全体が昼というのに薄暗い状態。
 今日もだらだらと教科書を広げていた私ですが、少し尿意を感じたのでトイレへ行くことに。
 階段前のトイレで用を足して、部屋に戻ろうとした時……眼前の階段から足音が響いてきました。
 そこで何気なく顔をあげると……ぼんやりとした人間の下半身だけが動いて、階段を降りてきます。







 ……………………

 ……………………

 あー……こういうの、久しぶりだ。

 いくら薄暗いとはいえ、昼間から出てる類は割とヤバいです。
 こういうのの鉄則は「反応するとアクションが起こる」ですので、悲鳴を飲み込んで回れ右。
 冷静に書いてますが、こういう時って驚くほど冷静で、驚くほど焦ってます。この時も、頭の中はクリアなのに、動悸だけが物凄い速度になってました。
 本能が日の光を求めたので、できるだけ平静を装いながら、運良く上の階で止まっていたエレベータのボタンを押して、石のように固まる私。

 足音はもちろん、今も聞こえます。

 壁のひとつでも殴りたいところを我慢していると、エレベータがやってきました。倒れこむようにしてエレベータの中に入り、『1』のボタンを殴り飛ばし、手のひらで閉じるボタンを押して……ドアが閉まりきったところで脱力して、床に座り込んでしまいました。
 エレベータが動いている間はかなりの放心状態だったのですが、胸の内は何事もなかった喜びに溢れています。エレベータは下に降りていき……途中で速度が緩み、3階で止まりました。どうやら三階に乗る人がいる模様。
 人に会えると思った瞬間、最後の理性が残っていたのか、私は咄嗟に立ち上がって後ろを向きました。
 そしてドアが開き、私が何気なくエレベーターに付いている鏡を見ると……ぼんやりとした女の子の上半身だけが浮いて、こちらを見ていました。
 その子が後ろ向きの私に視線を合わしたまま、言うんです。


「私の足、見ませんでした?」


 って。

 ……何度も言いますが、ここで反応するとヤバイです。
 特に「階段を降りてたよ」とか言うと死にます。下手したら。
 こういう時「この一言で必ず助かる」って言葉があったはずなんですが……その時の私は動転していて、思い出せませんでした。
 ただただ後ろ手に閉まるボタンを押して、まっすぐ鏡越しに見詰め合っていると……何事もなく、ドアが閉まりました。
 1階はさすがに日が明るく、それ以降は何もなく外に出ることができました。
 外に出た瞬間、夏の日差しが温かくて嬉しかったのをまだ憶えています。
 その後、3,4時間は近づきたくなかったのですが、夕方になれば状況は確実に悪化しますので、即効でカバンを回収して、家に帰りました。
 しばらく、あの建物には近づきたくない……って、講義あるんだよなぁ。





 ……本当はこれ、入院してた友人の病院の話(爆)
by udongein | 2004-07-18 17:53 | 戯れ言


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