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 台風がやってきています。


 昔から台風の好きだった私にとって台風は、視覚的なものよりも「風の匂い」で到来を感じるものだったりします。
 時化た風を感じて「懐かしい」と思ってしまいました。





 地元は割と台風の影響を受けやすい場所でして、川の水位が背の低い橋を超える光景や、道路が水で埋まる様、自転車を漕ぐのをやめると風に乗って後ろ向きに走り出すといった素敵な景色が見られます。
 その中でも、特に思い出があるのは平成2年の19号です。
 あの時の台風は深夜から始まり、翌朝には既に暴風吹き荒れる天気となっていました。台風の場合に学校が休みであることを告げる町内放送があるのですが、それが一番早い段階で休みを宣言。
 昼頃になって風で屋根の瓦が剥がれ落ち、庭に降り注ぐ状態になると母が恐怖に屈し、近所に住んでいる祖母宅へ避難することを提案しました。
 当時愛犬がいましたので、これ以上酷くなる前にと軽く家の周りでトイレをさせてやろうと思ったのですが、犬も本能的恐怖を感じて外に出たがらない。仕方なく家の中に入れて、置いていくことに。
 車に乗り込む間も瓦が落ちてくるのは恐怖以外の何物でもありませんが、それにしても母は怖がりすぎです。
 台風一過の名の通り、翌日には必ずカラッと晴れるのですが、本当の被害を知るのはその時でした。
 まず、家の屋根の一部が丸剥げになったこと。庭には破片が散らばっていました。直してもらうまでビニールシートをかぶせるという、なんとも情けない姿に。
 そして停電が3日。物凄い数の電線が切れまくったそうです。もちろん、その間に冷蔵庫の中身は丸ごとオシャカ。
 後は……防崩ネットを張った崖が崩れて、道が飲み込まれたこと。通れるようになるまでに2週間、ちゃんとした処置が施されたのは1ヶ月以上あとでした。
 被害の大きさとニュースの多さから今でも思い出に残っていますが、幸い身内にも友人にも死者が出るほどではなく、近代文明の恩恵を感じてしまった瞬間です。
 かくも雄大なる自然の猛威はそうあるまいと高校卒業までは思っていたのですが……大学のために群馬県へ来て、世界が変わりました。世の中は広いです。
 一晩だけ泊まっていった両親が窓を叩く風の音で目が覚めるという物凄い暴風「からっ風」は、地元友人への土産話として今でも通用します。
 でもやっぱり、風と雨の入り混じった「嵐」の様相と、その後の抜けるような空は、私の中で特別です。
by udongein | 2004-06-22 21:02 | 地元


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